宇宙の中でひときわ異彩を放つブラックホール。皆さんがイメージするブラックホールはこんな感じでしょうか?
ところで、この黒い部分は地面なのでしょうか?ブラックホールの中ってどうなっているのでしょうか?今回はその疑問に応えたいと思います。
ブラックホールの黒い部分は地面?
まず結論から言うと、ブラックホールの黒く描かれている部分は地面ではありません。
この黒い部分より内側は光が抜け出すことができず、なんの情報も届かないため真っ黒に描かれています。正確に説明するには一般相対性理論の知識が必要になるので、物理学を知らない方でもわかるように簡単に説明したいと思います。数式も多少使いますが、言葉でも説明するので安心してください。
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まず『脱出速度』: というものがあります。
半径 、質量 の天体の重力を振り切って、投げたボールが無限遠方まで飛んでいけるギリギリの初速度です。以下がイメージです。
:重力定数
このより遅いと、天体にまた落ちてきてしまうと言えば分かりやすいかもしれないですね。
ではこのが光速 と等しい場合を考えてみましょう。
光の速さ(=宇宙で一番速い)でないとその重力天体から抜け出せない!ということですね。
この式をの形に変形して
と、(シュヴァルツシルト半径と言います)を定義します。
この式は質量がMでこの半径より小さい星から出た光は、この半径より外に出ることができないということを表しています。どんなに頑張っても脱出速度(光速)を超えることができないからです。
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ブラックホールの中はどうなっているの?
ところで、我々は光によって情報を得ることができます。ということは、半径 よりも内側からは何も情報が得られない!って事になります。
そう、黒い部分は地面ではなく、この情報伝達の限界面(半径 の球)を表しているのです。
半径より内側はどうなっているのか全くわからん!!ってことですね。情報を取得する方法がないのです。
ブラックホールの中はどうなっているの?の回答は、分かり得ない、です。
ブラックホールがブラックホールと呼ばれる以前はFrozen Star(凍結した星)と呼ばれていた理由などをまとめた記事もぜひご覧ください。