宇宙って不思議!おもしろい!

宇宙の不思議やおもしろさをつぶやきます!宇宙に興味が湧いたり「そうなんだ!」と思ってもらえたら喜びます

12. 『凍結した星』と呼ばれるブラックホール

お久しぶりでござんす🙄

 

宇宙少年でございます。

 

最近バタバタしていてブログを更新できていませんでした😴

 

今回はですね〜

もっと物理っぽいのが読みたい!という声があったので

 

以前少し話に出した

ブラックホール

『 Frozen Star

(凍結した星)』

と呼ばれるお話

書きたいと思います!😎

 

(随分前の記事ですが忘れてませんでしたよ!👇)

utyuu-syounen.hatenablog.com

 

数式を使わずにお話するので、物理を学んでない方も安心してください!

後半で参考程度に一般相対性理論を使って改めてお話します!

 

 

 

 

では、START!

 

===================================

 

 

f:id:utyuu_syounen:20190616155639j:plain

提供:NASA


ブラックホールが『ブラックホール』と名付けられる前、『崩壊星』や『Frozen Star(凍結した星)』などと呼ばれていた、という話は前の記事でいたしました。

 

さらに黒い部分は地面ではなく、情報伝達の限界面(黒い中はどうなっているか全くわからない)ということもお話しました⬇︎

utyuu-syounen.hatenablog.com

 

 

では、もしこの黒い部分に向かってボール⚾️を投げてみましょう。

どうなるのでしょうか?

ギューーンと吸い込まれてしまうのでしょうか??⚾️

 

 

実はですね、一般相対性理論を使ってゴリゴリ計算いたしますと、なんと不思議なことが起こります😮

 

ボール⚾️がブラックホールに近付いて行って、「黒い部分にたどり着くまでにどのくらいの時間がかかるのか」を計算すると

 

なんと

 

無限大 \infty になってしまうのです!!

 

無限です。いんふぃにてぃです。

 

すなわち、『投げたボールはブラックホールの近くまでは行くけど、だんだん時間がゆっくり進むように見えてきて、いつまで経ってもブラックホールには到達できない、到達するには無限大の時間がかかるように見える』という謎の現象が起きます。

 

 

 

今後のブログのために例えをAくんとBくんに改めて実演してもらいます。

 

① Aくんは宇宙船にのって一定速度でブラックホールに向けまっすぐ進んでいくとします。Bくんはそれを遠くから見てるとします。

f:id:utyuu_syounen:20190616184701j:plain

Bくんの発言もごもっともです。

 

② 始めは皆さんの直感の通りに宇宙船が正常に進んでるようにBくんには見えます

f:id:utyuu_syounen:20190616184743j:plain

f:id:utyuu_syounen:20190616184841j:plain

 

③ しかしここからが直感に反します。シュヴァルツシルト半径 r_sブラックホール、黒い部分)に近づくにつれ、BくんにはAくんの乗った宇宙船がだんだんゆっくり進んでいるように見えるのです!

f:id:utyuu_syounen:20190616184903j:plain 

f:id:utyuu_syounen:20190616185309j:plain

的な。

 

そして黒い表面に達するまでに無限大の時間がかかるように見える、言い換えるとBくんには

ブラックホールのかなり近傍では物質も光も全ての動きが止まっているように見える」のです!

 

 

この現象を「時間が凍結した」と表現したことにより

ブラックホール

「Frozen Star(凍結した星)」

と呼ばれることになったのです!

 

 

強い重力場ブラックホールの近くとか)では時間も空間も歪んでしまって変な現象が起こるのですねぇ。ここが一般相対性理論の面白いとこではないかと思います🙃

 

 

 

 

続いては参考として数式を使って説明いたします。

数式アレルギーの方は一気に最後までスキップしましょう。

 

===============================

(参考) (解析力学一般相対性理論に触れたことのある方向け)

 

まずニュートン力学では変分法を用いて、運動方程式を導くことができました。 

自由粒子の場合は

\delta I =\delta\left( \int ^B _A L dt \right)

= \frac{1}{2}m\delta \left( \int ^B _A|\boldsymbol {v}|^2 dt \right) = 0

 

同様に一般相対性理論でも

 dt\rightarrow d\tau , |\boldsymbol {v}|^2 \rightarrow g_{\mu \nu}\frac{dx^{\mu}}{d\tau}\frac{dx^{\nu}}{d\tau}

と置き換えて、

I = \int^A _B L d\tau = \int^A _B g_{\mu \nu}\frac{dx^{\mu}}{d\tau}\frac{dx^{\nu}}{d\tau}d\tau

を変分することで測地線方程式を求めることができます。

 

 

ところで、球対称時空であるシュヴァルツシルト時空は

ds^2=g_{\mu \nu} dx^{\mu}dx^{\nu}

\,\,=-\left( 1- \frac{r_s}{r} \right)dt^2 + \left( 1- \frac{r_s}{r} \right)^{-1} dr^2

\,\,\,\,\,\,+ r^2 d\theta^2 + r^2 \sin^2 \theta d\varphi^2

であり、今回は動径方向のみの運動を考えるので, d\theta = 0, d\varphi = 0です。

 

作用は

I = \int L d\tau = \int g_{\mu \nu}\frac{dx^{\mu}}{d\tau}\frac{dx^{\nu}}{d\tau}d\tau

\,\,\,\,= \int ( -\left( 1- \frac{r_s}{r} \right) \left(\frac{dt}{d\tau}\right)^2

\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,+ \left( 1- \frac{r_s}{r} \right)^{-1} \left(\frac{dr}{d\tau}\right)^2) d\tau

 となります。

 

ここでオイラーラグランジュ方程式

 \frac{d}{d\tau}\left( \frac{\partial L}{\partial \dot{x}^{\mu}}\right) - \frac{\partial L}{\partial x^{\mu}}

より

\frac{\partial L}{\partial \dot{t}}=-2\left(1-\frac{r_s}{r}\right)\dot{t}\equiv -2\epsilon ... (1)

(なおここでは \cdot \equiv \frac{d}{d\tau})

また、 -d\tau ^2 =g_{\mu \nu}dx^{\mu}dx^{\nu} より

1 =\left( 1- \frac{r_s}{r} \right) \left(\frac{dt}{d\tau}\right)^2 - \left( 1- \frac{r_s}{r} \right)^{-1} \left(\frac{dr}{d\tau}\right)^2  ... (2)

 

(1)と(2)より

\frac{dr}{d\tau}=\pm\sqrt{\epsilon^2-1+\frac{r_s}{r}}

\frac{dr}{dt}=\pm\frac{1}{\dot{t}}\sqrt{\epsilon^2-1+\frac{r_s}{r}}

\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,=\pm\frac{1}{\epsilon}\left( 1-\frac{r_s}{r}\right) \sqrt{\epsilon^2-1+\frac{r_s}{r}}...(3)

 

座標時 t=t_ir=r_i の位置で質点が静止していたとすれば

\epsilon=\sqrt{1-\frac{r_s}{r_i}}

であるので、粒子が r=r_f に到達するまでの時間を (3) を用いて計算する。

\Delta t = -\int ^{r_f} _{r_i} \frac{\sqrt{1-\frac{r_s}{r_i}}}{1-\frac{r_s}{r}}\frac{dr}{\sqrt{\frac{r_s}{r}-\frac{r_s}{r_i}}}

\,\,\,\,=-\sqrt{1-\frac{r_s}{r_i}}\sqrt{\frac{r_i}{r_s}}\int ^{r_f} _{r_i}\frac{r^{3/2}}{(r-r_s)\sqrt{r_i-r}} dr

\,\,\,\,=2r_i\sqrt{\frac{r_i}{r_s}}\sqrt{1-\frac{r_s}{r_i}}\int ^{\theta _f}_{0}\frac{\cos ^4 \theta}{\cos ^2 \theta -r_s/r_i}d\theta

\,\,\,\,=2r_i\sqrt{\frac{r_i}{r_s}}\sqrt{1-\frac{r_s}{r_i}}\int ^{\theta _f}_{0}( \cos ^2\theta +\frac{r_s}{r_i}

\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,+\left(\frac{r_s}{r_i}\right)^2\frac{1}{\cos ^2 \theta -r_s/r_i}) d\theta

\,\,\,\,=\sqrt{1-\frac{r_s}{r_i}}r_i ( \sqrt{\frac{r_i}{r_s}}\cos ^{-1} \sqrt{\frac{r_f}{r_i}}

\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,+\sqrt{\frac{r_f}{r_s}\left( 1- \frac{r_f}{r_i}\right)})

\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,+2r_s\sqrt{\frac{r_i}{r_s}-1}\cos ^{-1}\frac{r_f}{r_i}

\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,+r_s\ln \frac{\sqrt{\frac{r_i}{r_s}-1}+\sqrt{\frac{r_i}{r_f}-1}}{\sqrt{\frac{r_i}{r_s}-1}-\sqrt{\frac{r_i}{r_f}-1}}

 

r_f\,\,\rightarrow\,\, r_s で確かに第三項が発散することがわかります。すなわち有限の時間内に r=r_s にたどり着くことはできないと言えます。

 

参考:一般相対論入門 須藤靖 日本評論社

一般相対論入門

一般相対論入門

 

 

 

 

===============================

 

...

 

んあああああ!!数式めんどい!!数式をLaTeXで打つめんどさを語るだけでブログ書けそうだ 

 

まぁ今回はこの辺で!

読んでくださってありがとうございます!

 

 

今回のまとめ

ブラックホールの近くにあるものは時間が止まって(かなり遅く)見える!

② それを比喩として『凍結した星』と呼んでいた

③ 数式打つのメンドイ